開催概要
開催概要及びプログラム・登壇者情報はこちらからご覧いただけます。
オンデマンド動画
日本語
開催結果
(i)議論の概要
1. | 第一回国際GX会合(GGX)はハイブリッド形式で10月7日に開催。今回の国際GX会合では、オンラインを含め、のべ1,300人以上が傍聴し、また登壇者として、閣僚級や各機関のヘッドのビデオ出演を含め、G7から5カ国(日本を除く)、2つの国際機関、12の大学・研究機関・民間企業が出席したところ。 |
---|---|
2. | グリーン・トランスフォーメーション、“GX”とは、エネルギー危機の顕在化や気候を巡る状況が変化する中で、社会システムをクリーンエネルギー中心へと変革し、排出削減と経済成長を両立すること。今回の国際GX会合において、世界で初めてグローバルなGX実現について議論することとなった。 |
3. | 第一回国際GX会合では、GXの実現に向けて、①冒頭各国・機関等からのハイレベルな参加者によるスピーチ、②グローバル企業がグリーンな製品を一定程度調達することを自ら約束し、グリーンな製品の初期需要を創出するイニシアチブであるFirst Movers Coalition(FMC)に関するアジアでの初めてのイベントである「FMC in Japan(※後述参考参照)」が行われたのちに、3つのパネルディスカッションが行われた。 具体的にはGXの実現に向けて未解決な課題を議論するため、「グリーンな市場の創出」、「グリーンな製品・サービスを推進するための評価・基準」、「グリーンな社会を構築するための国際協力」について議論された。会合を通じてGXに向けた取組を進める前向きな姿勢について、ハイレベルを含め各出席者から数多くの言及や期待が寄せられた。 |
4. | 開会セッションでは、中谷副大臣からは、GXの実現に向けた我が国の取組や削減貢献度の考え方へのハイライトがあった。WBCSDピーター・バッカーCEOからは企業取組の評価手法の確立や、利益追求から脱炭素化への構造転換が不可欠だとの指摘があった。米国ケリー気候問題担当大統領特使からはセクター別の取組や、市場創出のためのFMCの重要性を指摘した。欧州委員会ティマーマンス上級副委員長からはEU-ETSや炭素国境調整措置等、規制的な手法を含む欧州の取組を紹介しながら、自主的な手法で取り組む日本への関心が示された。英国キャラナン卿・政務次官(ビジネス・エネルギー・企業責任担当閣外大臣)からはクリーン技術の普及を促進するBreakthrough Agendaを含む英国の気候変動に対する取組等について言及された。OECDコーマン事務総長からはOECDの昨今の気候・エネルギーの取組、特にIFCMAの取組について言及された。IEAビロル事務局長からは産業の脱炭素化の重要性や、ニアゼロエミッション素材の定義等における議論の進展やデータ開示の重要性について言及された。 |
5. | グローバル企業がグリーンな製品の調達目標を定め、初期需要を創出するイニシアチブであるFMCについて、冒頭、写真撮影が行われた後(後述参考参照)に、中谷副大臣から、本年5月に日本が戦略的パートナー国として参画したこと、今回がFMC初のアジア開催となったことの紹介があった。続いて、米国と共同議長を務める世界経済フォーラムのナンシー・ギルズ氏よりFMCの活動が紹介された。続いて、在日米国大使館ロスキャンプ首席公使代理から、多くの日本企業にFMCへの参加を期待する旨が述べられた。最後に、日本企業として初めてFMCに参画した商船三井を代表して、田中副社長から、社会インフラである海運事業としての排出削減への強いコミットメントや、FMCのようにベストプラクティスを共有する国際的な場の重要性について述べられた。 |
6. | 「グリーンな市場の創出」のパネルディスカッションにおいて、供給サイド・需要サイド双方からのアプローチが発表された。供給サイドにおける取組の一例として、カーボンプライシング等が紹介され、歳入が革新的技術への資金にも動員される側面も紹介された。需要サイドの取組の一例として官民でグリーン製品の購入にコミットする取組等が紹介された。さらに、補助金を活用した革新的な技術を導入する取組み、産業の競争力を維持しながら段階的に低炭素技術の導入を支援する資金調達の手段としてのトランジションファイナンスの必要性が指摘された。議論の中では、脱炭素化のプロセスにおける公正な移行、脱炭素を加速化させるための取組みの必要性、グリーン製品のサプライチェーンの構築、脱炭素化のためのインフラ構築のための投資の必要性が指摘された。 |
7. | 「グリーンな製品・サービスを推進するための評価・基準」のパネルディスカッションでは、冒頭「企業等の活動主体の自らの活動やサプライチェーンにおける温室効果ガス削減」に焦点が当たる中、「企業の提供する製品やサービスの普及を通じた社会全体での削減への貢献」を評価することも重要だという説明があった。その後の発表や議論を通じて、削減貢献度の考え方に大きなポテンシャルがあること、ファイナンススキームと関連させながら削減貢献を価値として認識することの重要性についてコンセンサスを持つことができた一方で、ベースラインの設定方法や測定手法を適切に整備することの必要性や、削減貢献度をGHGプロトコルの定める排出削減の範囲(Scope1-3)やNDCと明確に区別することの重要性等が述べられ、今後削減貢献度の考え方を具体化していくことの必要性について、認識の一致をみた。今後、金融機関も含めて、民間主体の国際的な議論を深めていくことについて認識を共有するとともに、政府に対してもこうした考え方をサポートしながらG7等の国際的な場で議論されることへの期待が示された。 |
8. | 「グリーンな社会を構築するための国際協調」のパネルディスカッションでは 、気候危機の中、グリーンな社会の基盤構築と、カーボンリーケージの防止や国内産業の国際競争力維持の両立に向けた政策(炭素国境調整措置等)の検討状況が紹介された。カーボンプラインシング及び排出原単位に基づくアプローチが対比され、その効果や課題が議論された。また、世界のGXを進めるためには、国毎に異なる状況を理解した上で、G20等の主要排出国を含め国際協調が必要であることが確認された。また、国際協力におけるビジネスの果たす重要な役割についても強調され、適応ビジネスはその一例として取り上げられた。また、各国の異なる限界削減費用も踏まえ、先進国と途上国が協力できる枠組としてJCM(二国間クレジット制度)の有効性についても取り上げられた。 |
9. | 閉会セッションでは、経済産業省平井経済産業審議官より、2週間にわたるGXウィーク及び第一回国際GX会合の参加者等への協力に対する御礼とともに、議論の総括をした。 |
(ii)今後の取組の方向性
10. | 同会合での議論を経て、今後、以下の点を中心に経済産業省において議論を加速していく。
|
---|---|
11. | 我が国としては、今後COP27や日本が議長国を務める2023年G7等に向けて、国際社会とも協調しながら、先進国、途上国、主要排出国のみならず、気候変動対策における重要な役割を果たすビジネスセクター等とも議論を重ね、世界のGXの実現に向けた様々な課題の解決に向けて議論を重ねていく。 (参考)FMC in Japanにおける写真撮影 (左からWEFギルズプログラム長、経済産業省中谷副大臣、米国ロスキャンプ首席公使代理、商船三井田中副社長) |