概要

TCFDサミットとは

2019年6月のG20大阪サミットで合意した「環境と成長の好循環」を実現するため、ファイナンスの流れをイノベーションに向けるグリーン・ファイナンスの推進が重要です。世界でTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の賛同数が増加している今、環境と成長の好循環の加速に向けて、TCFD提言を実務に定着させるための国際的な議論を日本がリードしていくことが求められています。

こうした考えから、2019年10月、世界の先進的な取組を行っている産業界・金融界のリーダーが集結し、TCFDの課題や今後の方向性を議論することを目的として、経済産業省は世界初となる「TCFDサミット」を東京で開催しました。

第1回TCFDサミットでは、TCFDコンソーシアムが、投資家が企業の開示情報を評価する際の指針となる「グリーン投資ガイダンス」を公表するなど、様々なイニシアティブが共有されました。さらに、TCFDが低炭素経済への移行に向けた民間投資を促進する上で重要な役割を果たしており、TCFD提言の履行に向けた取組に集中するためにも、世界の産業界、金融界、政府、規制当局、国際機関等を含む幅広い利害関係者をまとめるための継続的な努力が必要である、という認識を共有しました。

この認識に賛同し、更なる前進に向けて行動するTCFDコミュニティが世界に広がり、TCFDが継続的に重要なプラットフォームと推進力を提供するよう、本サミットはベストプラクティスの共有や幅広い関係者が議論し、更なる努力をコミットメントする場となっています。

ご挨拶

内閣総理大臣 菅 義偉

本日は、世界を牽引する金融界・産業界のリーダーをお招きし、第二回のTCFDサミットを開催できることを嬉しく思います。

人類は、どんな困難な課題に直面しても、必ず乗り越えてまいりました。今、感染症という困難に直面する中、世界中で、デジタル技術のイノベーションを力に、ポストコロナの新たな社会を作り上げようとする取組が進んでいることは、我々に勇気と希望を与えてくれます。

気候変動もまた、人類が直面する大きな課題です。これをイノベーション創出の機会、と前向きに捉え、新たな産業や市場を生み出そうとする機運が高まっています。今やESG投資は3000兆円を超え、世界の企業、投資家は、「サステナビリティ」を核とするビジネスに転換しています。

日本は、高い技術力と産学官一体となった取組により、温室効果ガスの削減について、G7で第2位の実績を挙げています。この強みを生かし、累積のCO2の量を減少に転じさせる「ビヨンド・ゼロ」を実現するイノベーションを生み出します。「環境と成長の好循環」の絵姿を示すことで、世界の脱炭素化に貢献していきます。

このため、今回初めて、エネルギー・環境分野のイノベーション、ファイナンス、国際協力を議論する6つの国際会議を、「東京ビヨンド・ゼロ・ウィーク」として開催することとしました。

本日のTCFDサミットも、その一環です。投資家と企業の建設的対話を促すTCFDは、気候変動問題の解決に取り組む企業を、金融の力で支える取組です。日本では、世界最大の300を超える賛同企業が脱 炭素社会に向けたアクションを世界に示しています。日本政府は、TCFDが世界中で活用され、発展していくことを支援してまいります。

一連の国際会議が契機となり、日本と世界との交流・協力が活発化し、世界全体が課題解決に向けて着実に前進していくことを祈念しております。

2020年10月9日 内閣総理大臣 菅 義偉

経済産業省 経済産業大臣 梶山 弘志

経済産業省は、10月7日からの1週間を、「東京ビヨンド・ゼロ・ウィーク」として、エネルギー・環境分野の6つの国際会議を連続的に開催し、世界全体のカーボンニュートラル、過去のストックベースでのCO2削減を可能とする「革新的環境イノベーション」の実現に向けた絵姿を世界に発信します。

ちょうど今から約1年前の2019年10月8日、東京に各国の産業界・金融界のリーダーが集まり、世界初となる「TCFD(ティー・シー・エフ・ディー)サミット」を開催しました。このサミットでの議論は、世界中の投資家及び企業経営者の気候変動への取組に大きなうねりを生み出すきっかけとなり、この1年間で、世界500以上の機関が新たにTCFDに賛同し、世界で1,400を超えるまでに至りました。本日ここに、第二回のTCFDサミットをオンライン開催し、世界の産業界と金融界のリーダーと協力して、気候変動対策への更なる一歩を進められることを、主催者として嬉しく思います。

昨年のサミットでは、TCFDによって開示された情報を、投資の引き上げではなく、建設的な対話に活用していく重要性が合意されました。また、これらの情報を、リスク評価だけに使うのではなく、気候変動への対応がイノベーションを生み出す新ビジネス創出の可能性、すなわち機会であるとの認識も共有されました。例えば、人工光合成の技術は実用化に向けて本格的な実験が開始されています。私自身も足を運び、その技術と熱心な取組に感銘を受けました。新たな環境技術については「東京ビヨンド・ゼロ・ウィーク」で議論されますが、技術の芽はニーズが具体化し、投資家の資金が投入されることによって、社会の変革として結実します。
本日のサミットにおいては、投資家と企業経営者の対話を経て、「機会」としてのイノベーションにどのように資金供給をしていくのかを議論いただき、TCFDの新たな活用可能性の道を開いていただきたいと思っております。

昨年のTCFDサミットでの議論を踏まえて、日本では、世界最大の300を超える機関が賛同し、積極的な「機会」の開示も進めています。また、経済産業省では、先月「クライメイト・イノベーション・ファイナンス戦略2020」を策定しました。脱炭素化・低炭素化に向けた移行であるトランジション、CO2の大幅削減に向けた革新的イノベーションの両方に関して、TCFD開示の中でどのように「機会」の評価を行うか、具体的な検討を進めております。そして、本日、その取組の第一弾として、脱炭素社会の実現に向けて、イノベーションの取組で果敢に挑戦する企業を「ゼロエミ・チャレンジ企業」と位置づけ、約300社の企業リストを作成し、公表させていただきます。こうした取組で得た教訓やノウハウを、世界のTCFDコミュニティに還元していきます。

気候変動対策は待ったなしの課題です。世界全体のカーボンニュートラルの達成に向け、日本はCO2を減少に転じさせる「ビヨンド・ゼロ」を実現するイノベーションを生み出します。さらに、ここに資金供給することで社会実装を加速化し、「環境と成長の好循環」を実現することを目指しています。このサミットが建設的な議論の前進に寄与すると確信しております。来年以降もこの場を通じ、継続的にTCFD開示の取組が推進することを望んでいます。

2020年10月9日 経済産業大臣 梶山 弘志

ピーター・バッカー

「TCFDサミットの開催に向け、リーダーシップを発揮して下さった日本政府に称賛を送ります。持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、本イベント開催に向け、経済産業省およびTCFDコンソーシアムと協力できますことを光栄に思います。

TCFDサミットは、気候関連情報開示にかかわる現在までの活動を集約し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への幅広い理解を促す重要な機会です。企業が開発する製品、サービス、ソリューションへの資金提供を通じて低炭素経済への移行を支援し、最も持続可能性が高い企業が恩恵を得られるようにするうえで、TCFDの活動は、極めて重要な貢献をしています。

TCFDサミットは、気候、人間、地球のため真に影響力ある変化を生み出す重要な手段のひとつです。このサミットで力を合わせることにより、リーダーは、TCFDの提言を推進し、ビジネスソリュ-ション、政策、気候安定性、経済成長の間の好循環を促す大きな機会を手にします。WBCSDは、経済産業省およびTCFDコンソーシアムと協力して、この課題への取り組みを進められるよう期待しています。」

WBCSD プレジデント兼CEO ピーター・バッカー
ピーター・バッカー