開催結果

オンデマンド動画

TCFDサミット2021は10月5日に終了いたしました。
サミットの映像は下記よりご覧いただけます。
登壇者のプレゼンテーション資料はこちらからダウンロード下さい。

オリジナル音声

オリジナル音声

TCFDサミット2021 結果パンフレット

開催の背景

気候変動への関心の高まりをうけ、世界で120か国以上が2050年カーボンニュートラルを宣言し、これを実現させるために金融機関も投融資先のネットゼロに向けた活動を活発化させています。
企業等の気候変動に関する情報開示の重要性は一層高まっており、開示の枠組みとして国際的に支持されているTCFDへの賛同も加速しています。2021年9月30日時点で、TCFD賛同者は世界2,529機関(+1,096)、日本509(+203)機関まで拡大しました。
「経済と環境の好循環」の実現に向けて、TCFD開示に対する企業のコミットメントをさらに促すとともに、投資家の適切な投融資判断に資するよう、企業は開示の質の向上・内容を深化させ、投資家はそれを的確に理解することが重要です。
第3回となるTCFDサミット2021では、産業界・金融界のリーダーが適切な投資判断の基盤となる開示の拡充を促すべく、更なるTCFD提言の活用に向けて議論しました。具体的には以下を主要な成果として共有しました。

  • 投資家によるカーボンニュートラルへのコミットメントは、ダイベストメントではなく、エンゲージメントにより達成することが重要
  • サプライチェーン全体での排出削減が重要である中、スコープ3は実践面での課題解決のために算定方法の確立が必要であり、チェックボックス方式に陥らずスコープ3開示がなぜ必要なのか背景を理解することも重要
  • 化石燃料への依存度が高いアジアを中心として、世界的にトランジション・ファイナンスは不可欠であり、開示の中でトランジション戦略が示されることが重要
  • 日本のコンソーシアムの活動をきっかけに海外でもコンソーシアム設立に向けた動きがある。日本からの貢献が世界的な開示の拡大に果たす役割が大きい
  • 「グリーン投資ガイダンス2.0」、「ゼロエミチャレンジ第2弾」を発信

TCFDサミット2021の概要

日時:2021年10月5日(火曜日)13:30~18:30
開催方法:オンライン
主催:経済産業省
共催:WBCSD、TCFDコンソーシアム
視聴登録者数:約3,600人

プログラム


Welcome Message 萩生田 光一 経済産業大臣(代読)
広瀬 直 経済産業審議官
Opening Remarks Valdis Dombrovskis(Executive Vice-President, European Commission)
Mark Carney (Finance Adviser to the Prime Minister of the United Kingdom for COP26, UN Special Envoy for Climate Action and Finance)
Mary Schapiro (Head Of The TCFD Secretariat, Vice Chair For Global Public Policy At Bloomberg And Senior Adviser To The Founder)
黒田 東彦(日本銀行総裁)
Peter Bakker (President & CEO, World Business Council for Sustainable Development (WBCSD))
伊藤 邦雄 (TCFDコンソーシアム会長、一橋大学CFO教育研究センター長)
Keynote Speech 1 宮園 雅敬(年金積立金管理運用独立行政法人理事長)
Ronald P. O’Hanley(Chairman and Chief Executive Officer, State Street Corporation)
Panel Discussion1
「開示をめぐる環境変化と
アセットオーナーの役割」
モデレーター:
水野 弘道(国連事務総長特使)
パネリスト:
Marcie Frost(CEO, California Public Employees' Retirement System (CalPERS))
菅野 暁(アセットマネジメントOne株式会社取締役社長)
Edward Baker(Head of Climate Policy, PRI)
重本 和之(第一生命保険株式会社執行役員投資本部長)
Keynote Speech 2 十倉 雅和(日本経済団体連合会会長)
山道 裕己(東京証券取引所代表取締役社長)
Panel Discussion 2
「TCFD開示の広がりと具体的な課題」
モデレーター:
長村 政明(東京海上ホールディングス フェロー国際機関対応)
パネリスト:
池田 賢志(金融庁総合政策局チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー)
Becky Swanson(TCFD Secretariat Support / Senior Consultant, Financial Services, Oliver Wyman)
津田 恵(株式会社日立製作所グローバル渉外統括本部 サステナビリティ推進本部 副本部長)
岩永 泰典(アムンディ・ジャパン株式会社チーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサー)
Keynote Speech 3 奈須野 太(経済産業省産業技術環境局長)
Panel Discussion 3
「TCFD開示とトランジション戦略」
モデレーター:
伊藤 邦雄 (TCFDコンソーシアム会長、一橋大学CFO教育研究センター長)
パネリスト:
Kaja Pergar(TCFD Secretariat Support / Engagement Manager, Climate and Sustainability, Oliver Wyman)
Nicholas Pfaff(Head of Sustainable Finance, ICMA)
Sergio Molisani(Finance, Insurance, Tax Director & SVP International Assets, Snam SpA)
寺上 美智代(出光興産株式会社執行役員 地域創生事業管掌(地域創生事業室)(兼)サステナビリティ戦略室長)
林 礼子(BofA証券株式会社取締役副社長)
Keynote Speech 4 髙島 誠(全国銀行協会会長(三井住友銀行 頭取 CEO))
Panel Discussion 4
「環太平洋地域とTCFD開示」
モデレーター:
藤村 武宏(三菱商事サステナビリティ・CSR部 部長)
パネリスト:
Ma. Victoria A. Tan(Executive Director, Group Risk Management And Sustainability, Ayala Corporation)
田中 利明(株式会社商船三井取締役 専務執行役員 環境サステナビリティ―担当 ドライバルク営業本部長)
Yulanda Chung(Head Of Sustainability, Institutional Banking Group, DBS Bank)
大嶋 幸一郎(株式会社三菱UFJ銀行常務執行役員 ソリューション本部長)
ビデオメッセージ:
Juan Carlos Belausteguigoitia(Consorcio TCFD México / Director, Centro De Energía Y Recursos Naturales, Instituto Tecnológico Autónomo De México)
Closing Remarks 水野 弘道(国連事務総長特使)
  • サミット総括はこちらからダウンロード

議論の内容

Welcome Message


萩生田光一経済産業大臣(経済産業省岸本産業技術環境政策統括調整官による代読)

日本国が2050年カーボンニュートラルの目標の達成に向けてチャレンジし、さらに、世界のカーボンニュートラルに貢献していくこと、その中で、各国が実態に応じた様々な道筋を追求することが重要で、イノベーション創出が鍵となる。日本政府はTCFD開示を支援し、率先して気候変動対策へ貢献していく。

広瀬直経済産業審議官

世界全体のカーボンニュートラルの達成に向け、日本は「ビヨンド・ゼロ」を実現する革新的技術の確立と社会実装を目指し、世界の脱炭素化をリードする。これらの技術への資金供給を通じ、ファイナンスが企業のカーボンニュートラル実現に向けた取組を加速する流れを作り出すことを目指す。その際、開示は企業の取組評価の基盤となる。

Opening Remarks


ヴァルディス・ドンブロウスキス氏(欧州委員会副委員長)のメッセージ

欧州委員会が目指すサステナブル経済の実現のためには、民間投資に拠るところが大きい。グリーンウォッシングを防ぐには正しい開示が必要だ。欧州委員会は国際的な開示基準のイニシアチブの共通基盤となっているTCFD提言を支持しているし、EUのサステナビリティ報告基準はTCFD提言に明確に根差している。EUと日本はサステナブルファイナンスと気候対策の分野でより多くの協力が可能であり、今後のハイレベル経済対話や経済連携協定における緊密な連携が期待される。

マーク・カーニー氏(Finance Adviser to the Prime Minister for COP26 UN Special Envoy for Climate Action and Finance)のメッセージ

気候変動が企業価値の決定要因となるためには、報告、リスク管理、気候リターンの主流化、大規模資本を流動化する新市場創出が不可欠だ。COP26に向け、我々は主要国にTCFD開示義務化を呼びかけている。日本は自主開示において先進的だが、義務化においてもコーポレートガバナンス・コードの改訂に取り組むことで先進的な対応を示した。我々は開示の充実に向けて、投資家にポートフォリオがいかにネットゼロ移行に整合しているか開示することを望んでおり、ポートフォリオ整合の技術報告書を10月に公表する。あらゆる金融判断に気候変動の要素が考慮される世界を作り上げるために、日本がTCFDサミットを通じて尽力していることに感謝する。

メアリー・L・シャピロ氏(Head Of The TCFD Secretariat)のメッセージ

日本のTCFDコンソーシアムの取組は目覚ましく、メキシコをはじめとした他国のモデルになっている。今夏、TCFDは指標・目標・移行計画のガイダンスの市中協議を行った。日本では、経済産業省のクライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020に基づき、クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針を公表されたが、これはTCFDのフレームワークと合致した移行戦略の開示を促すものである。G7、G20でもTCFD提言に基づく義務化が支持される中、気候・サステナビリティ報告のグローバル基準確立はTCFDにとっても重要な使命であり、TCFD提言は基準の基盤として、基準確立の動きを結びつける役割をしている。

黒田 東彦氏(日本銀行総裁)のメッセージ

気候変動は将来にわたって社会・経済に広範な影響を及ぼし得るグローバル課題であることから、気候関連の情報開示の促進を進めることで、投資家は適切にリスクを認識して投資が可能になり、企業は気候変動に対応した生産活動や研究を積極化できる。日本銀行は気候変動に関する包括的取組方針を決定し、金融政策と考査・モニタリングにおける対話を通じて金融機関のTCFD開示の充実を図るとともに、日本銀行自身のTCFD開示にも取り組む。

ピーター・バッカー氏(WBCSD会長兼CEO)のメッセージ

TCFDの実装は大きく進展し、賛同者の増加のみならず多くの政府や監督機関、証券取引所でのTCFDに沿った気候報告の義務化が進んでいる。資本配分の決定にサステナビリティを組み込むためには、企業と投資家の間のコミュニケーションと連携を強化する必要がある。

伊藤 邦雄氏 (TCFDコンソーシアム会長、一橋大学CFO教育研究センター長)のメッセージ

TCFD開示のモメンタムが高まっており、気候変動に積極的に対応し、情報を開示する潮流が確立してきている。TCFDコンソーシアムでは、こうした環境変化に対応すべく投資家向けの手引書である「グリーン投資ガイダンス」を改訂、金融・産業・政府の間の対話の充実のためにラウンドテーブルを実施、国際連携を進展させるなどの活動を行っている。

Keynote Speech 1


宮園 雅敬氏(年金積立金管理運用独立行政法人理事長)のメッセージ

年金積立金管理運用独立行政法人は気候変動をESG活動の最重要テーマの一つと位置づけ、TCFD提言に沿った気候関連財務情報の開示を行っている。2020年度版のTCFD開示においては、温室効果ガス排出の分析対象をサプライチェーン全体に拡大し、低炭素社会への移行に伴う機会とリスクの産業間の移転の分析を新たに行った。日本のエネルギーや化学産業では脱炭素社会への移行に伴う機会がリスクを大きく上回り、有望な技術があることが明らかになった。今後も、気候変動が企業価値や産業構造に与える影響を適切に捉えられるよう、分析改善に腰を据えて取り組むとともに、市場全体の持続可能性向上に努めていく。

ロナルド・オハンリー氏 (ステート・ストリート会長兼CEO)のメッセージ

TCFD開示は年金基金、銀行、保険を含む金融システムのすべての分野で喫緊の課題であり、開示の義務化が進展している。ステート・ストリートは投資対象にTCFD開示を促しているが、TCFD提言の実行が次なるステップだ。より多くの企業がTCFD提言を採用・承認することに期待するとともに、我々は画一的なアプローチをとるのではなく、業界のベストプラクティスの共有を支援していく。

Panel Discussion 1


開示をめぐる環境変化とアセットオーナーの役割

アセットオーナーの及びアセットマネージャーが、この1年間の新たな取組や進捗を振り返り、脱炭素化に向けたアセットオーナーの役割について議論した。TCFDの枠組みはなくてはならない存在になり、開示義務化の取組も進んでいる。この1年で開示の重要性が一段と重みをもった。
アセットオーナーは、信頼性のあるデータに基づいて資本配分をする必要がある。そこで指標・目標の設定や、定量的な分析に基づく長期的メリットが重要になる。その分析のためには、開示の標準化も期待される。金融業界ではアセットオーナーのみならず、投融資先が非流動的な銀行のコミットメントも必要だ。
投資家によるネットゼロのコミットメントは、ダイベストメントにより達成するのではなく、エンゲージメントこそが解決策である。アセットオーナーは個別のエンゲージメントにとどまらず、集団的にエンゲージメントを実践していく。アセットマネージャーは定量的なシナリオ分析結果を用い、明確なアプローチをアセットオーナーと議論していく。
パリ協定実現に向けては官民の協力が必要であることから、政府はコミットメントに加え、具体的な計画を示すことが重要だ。

Keynote Speech 2


十倉 雅和氏(日本経済団体連合会会長)のメッセージ

経団連は昨年新成長戦略を公表し、グリーントランスフォーメーションによるサステナブル資本主義の確立を掲げた。経団連は気候変動に主体的に取り組んでおり、企業のイノベーションへの挑戦を後押しする「チャレンジ・ゼロ」を推進、これと連動する日本政府の「ゼロエミ・チャレンジ」の活用に期待する。TCFD開示の裾野拡大や、金融機関や投資家との対話の深化に努めるとともに、トランジション・ファイナンスの議論への参画や情報発信を行う。また、バリューチェーン全体での削減に取り組む。

山道 裕己(東京証券取引所代表取締役社長)のメッセージ

2021年は日本においてTCFD提言に基づく取組と開示が前進する節目の年になった。今年改訂したコーポレートガバナンス・コードでは、上場会社のサステナビリティ課題への取組の重要性が強調され、来年新設するプライム市場上場会社にはTCFDまたはそれと同等の枠組に基づく開示の質と量の充実を求めている。実務上の課題解決の一助として、TCFD提言の理解促進・普及のために情報提供を積極的に行っている。また、TCFD開示が進み、企業価値評価に開示情報が活用され、気候変動対応に積極的な企業やトランジション、革新的技術に資金が提供されることが肝要である。

Panel Discussion 2


TCFD開示の広がりと具体的な課題

企業、金融機関、当局、TCFDの代表が、TCFD開示の最先端の課題について意見を交わした。世界でTCFD開示義務化と国際基準策定が進みつつある。企業が創造性を発揮するためには投資家と企業の対話が重要で、チェックボックス型の開示のみであってはいけない。
より充実した開示を支援する手引書も策定されており、TCFDによる指標・目標及び移行計画と、ポートフォリオ整合に関するガイダンス案と日本のグリーン投資ガイダンスの改訂が紹介された。TCFDからはガイダンスへの市中協議へのコメントへの謝辞が示され、市中協議への回答を非常に重視しているとの説明があった。
TCFD開示について、スコープ3排出量の把握・削減は困難を伴うものの重要であるとの認識が共有され、バリューチェーン全体の削減のための取組が紹介された。企業からは新たな製品や技術による社会全体のCO2削減への貢献が評価されることは企業のモチベーションになること、投資家からは、投資先企業のTCFDに沿った戦略の開示がポートフォリオ管理に有用であり、投資家は企業の戦略によって創出される価値を評価するべきとの意見が示された。

Keynote Speech 3


トランジション・ファイナンスに関する施策を経済産業省奈須野産業技術環境局長より紹介した。

Panel Discussion 3


TCFD開示とトランジション戦略

内外のエネルギー企業を交え、トランジション・ファイナンスで求められる開示とTCFD開示で求められるトランジション計画の開示の親和性について議論を行った。
投資家、銀行、保険会社は事業会社のトランジションをサポートしなければならないし、事業会社はトランジション計画の中で気候変動による事業のチャンスをとらえていかなければならない。気候関連の指標・目標をトランジション計画の基礎としたうえで、監督や説明責任によって計画に信頼性を持たせる必要がある。これはICMAが推進してきたトランジション・ファイナンスのアプローチとも合致する。
トランジション・ファイナンスは世界のカーボンニュートラルを目指す企業に不可欠で、トランジション計画の開示は事業ポートフォリオの転換も必要となるエネルギー企業にとっては特に重要だ。エネルギー企業からはトランジション・ファイナンスの経験と今後のファイナンスへの期待が語られた。

Keynote Speech 4


髙島 誠氏(全国銀行協会会長(三井住友銀行 頭取 CEO))のメッセージ

日本の銀行業界は、単純なダイベストメントではなく、顧客とのエンゲージメントを通じて、顧客と一緒に脱炭素社会への移行を実現していく。顧客のTCFD提言に沿った開示は、エンゲージメントの基礎となる。またトランジションに係る戦略や温室効果ガス排出量等の情報は、銀行が企業サポートを行う上で特に重要だ。

Panel Discussion 4


環太平洋地域とTCFD開示

アジアの金融機関、事業会社、そしてメキシコで立ち上がったコンソーシアムにより、世界的なTCFD開示推進について幅広い議論を展開した。アジア、環太平洋地域での脱炭素の必要性及びそれを実現するための開示の有用性について認識を共有、開示を基礎にトランジションローン組成に至った経験が紹介された。
アジア地域の多くは新興市場であり、迅速な脱炭素化が難しい。トランジションが必要な企業が多いことから、金融機関は信頼性のあるトランジション・ファイナンスを実行し顧客の戦略を後押しするために企業の情報開示が重要であり、その開示がTCFD提言に沿っていることが望ましいとの意見が示された。開示に着手する企業には、将来的な便益を理解し社内横断的な体制を作ること、外部の専門家も活用すること等の助言もなされた。
メキシコからはTCFDコンソーシアム設立に向けた動向、日本のTCFDコンソーシアムをモデルケースとしたことの紹介がされた。

Closing Remarks


水野国連事務総長特使

国連事務総長を代表し、本サミットの成功について経済産業省、共催者のTCFDコンソーシアムとWBCSDに祝意を表す。日本国政府も含め、世界のリーダーが2050年カーボンニュートラルを宣言しているなか開催されるCOP26は、最も重要なCOPになると予想されている。これに先立ち本サミットが開催され、重要な指摘が多数なされたこと、TCFDの重要性を再確認したことは有意義だ。COPに向けて多くのイニシアチブが意見表明をするだろうし、日本はTCFD推進についてリーダーシップを発揮し続けるだろう。
パネルディスカッション1では、アセットオーナーが重要な役割を果たす必要性や、集団的エンゲージメントの活用や、ダイベストメントでなくエンゲージメントによる責任あるオーナーシップの重要性が指摘された。 パネルディスカッション2では、開示の質の改善が議論された。ライフサイクルでの排出削減が重要だが、実践面では課題がある。スコープ3開示には算定方法の確立が必要だ。また指標の標準化についてはチェックボックス方式に陥らず、スコープ3がなぜ必要なのかという原則を認識する必要がある。
パネルディスカッション3では、サステナブルなビジネスへの転換のためのトランジションの重要性が議論された。現時点で完全なグリーン化を誰もが実現することは非現実的だ。排出量のより低いビジネスモデルに徐々に変える必要があり、そのために資本投入しなければ、むしろ座礁資産が残ってしまう。トランジション・ファイナンスをグリーンウォッシングにしないためには、ロードマップや道筋が必要で、これを政府や産業界が発表していく。 こと、それには国際的な相互支援の重要性が明確になった。特にメキシコが日本のコンソーシアムにアイデアを得て開示を推進しているのは印象深い。
TCFDの最終目的は、これを枠組みとして使うことで気候変動に関する議論を進め、ビジネスや資本を誘導し、よりよい未来を作ることだ。本サミット参加者は、応援団となってTCFD提言を推進しよう。